講義7 高齢者のくらしと移動
日時:2022年9月21日(水)19:00~21:00
場所:オンライン(Zoom)
皆さんこんにちは!
沖縄地域社会ビジョン大学院11期生の渡嘉敷音菜です!
今回の第7回目の講義は「高齢者のくらしと移動」です。
講師を務めていただいたのは、
沖縄大学福祉文化学科教授である島村 聡さんです!
今回の講義では、高齢者の生活ニーズランキング首位である「移動」に視点を当て、実例を交えながら、高齢者の交通政策について話し合いました!
まず、高齢者に必要な特別な配慮について
①認知機能低下・健康不安・歩行不安定(安全への配慮や理解しやすい方法)
②気力や意欲の低下を防ぐ(閉じこもりからの外出までの誘い)
③経済的制約(年金のい生活者は月収6万~25万円)
私は、時間があるときは祖母を外食や買い物に誘うことがあります。私が運転をして送迎するだけでも喜んでくれて、たわいもない会話をすることで私自身も元気をもらうことができています。
続いて、島村さんが掲げる3つのSと3つのCについて学びました。
高齢者の視点に立って考える(3つのS)
①Safety
玄関先からの安心安全:僅かな距離でも不安を感じないこと
②Selectable
通院、買い物、余暇に:目的に合わせた達成手段を選ぶ
③Save money
出来るだけ低料金で:年金でも利用可能料金
高齢者の意欲に欠かせないもの(3つのC)
①Communication
気軽に話せる環境:誰かと話したいと思える場
②Contact
介在する人:不安に応える人や介護を支える人
③Constance
継続性の担保:続かないと諦めてしまう
それでは、実際に上手く交通政策が行われている地域の例を見ながら、どのような動きがあって実現したのかを細かく教えて下さいました
場所は「那覇市安謝の岡野地域」
今では当たり前のように、コープ沖縄の移動販売が行われているのですが、ここに至るまで様々な動きがありました。
~以前~
⊡商店などがあったが、高齢化によって閉店した。
⊡その影響で高齢者が買い物に行くときは遠く離れたお店に行かなければならなかった。
⊡お店に行く経路自体も上り坂や下り坂といった高齢者には危険な道が多かった。
そこで、地域包括支援センターが岡野地域の買い物支援を行おうと議論をし、実現に向けて動き出したのです。
もちろん、買い物に行く楽しみも大切だが、日配品やお米の重さ、卵が割れやすいといった課題がありました。
~具体的な動き~
⊡住民の協力により停留所の確保ができた。
⊡地域の方々の分布マップづくりを行った。
岡野地域の移動販売が実現した主な理由としては、移動販売店との採算とニーズがマッチしたこと。1つの地域に3か所の移動販売の需要があったこと。が挙げられます。また、住民の協力はもちろん、地域の方々の分布マップによって情報が可視化され、移動販売に対してたくさんのニーズがあることが証明できたからこそ、短期間で実現をすることができたそうです。
講義の中盤になった頃、ワークショップを行いました。
テーマは「3つのSと3つのCを考慮した高齢者の交通政策の提案」について3つのグループに分かれて意見を出し合いました
私のグループでは、
⊡みんな必ず高齢者になるのだから、衰える前に高齢者自身が運動をして体力をつける必要もあるのではないか
⊡介護と福祉の連携の重要性
⊡高校・大学時代に行ったボランティア活動
→若いうちから地域との関わりを持ち、繋がりを作ることが大切、また独り暮らしの高齢者等が社会から離れないように目を向けることができる。
⊡自家用車に依存するのではなく、細かな移動の視点から“歩くこと”ことと“公共交通”を繋
げることも歩く意欲の低下を防ぐためにも必要だと思う。
⊡移動販売をもっと利用したくなるような提案として、
①移動販売の日程が予め知らせておく(過ぎ去ってしまうことがあるため)、②思わず家を飛び出したくなるような楽しい移動販売をやってみるといいと思う
そして、自分たちの課題設定である「楽しく街を歩くこと」と紐づけて、「高齢者にいかに街で歩いて貰えるのか、楽しく街を歩けるようにできるのか?」という考えも出ました。
⊡ご飯と移動は繋がりがある。
→1人分では多いご飯を「夕ご飯を貰いにおいで~」と呼びかける
⊡タクシーが人を運びながら、買い物の荷物も運ぶ→もう少し仕組みとしてできないか。
⊡家族での送迎だけでは大変→高齢者の単身だとなおさら大変だろう。
⊡運転は難しいが、荷物は持てる男性もいる。→高齢者自身の力を活かしていきたい
このように高齢者の移動にはヒトが関わってくることが改めてわかりました。こうした可能性を秘めている提案があり、少しずつ良い方向に変わっていってほしいと感じました。
ここで、島村さんの言葉が印象に残ったので共有したいと思います
「人との繋がりに焦点を当てていることはとても良いこと」
人が繋がると、そこから「会いたい」「話してみたい」「一緒に行ってみたい」と感じ、そこから自然に一緒に移動する話に繋がっていく。その為には、「孤立させないこと」が必要になると思う。
この言葉を聞いて、大学生である今からでも、人との繋がりは今まで以上に大切にしていきたいと感じました。
最後に島村さんに対する質疑応答の時間がありました
Q:先ほど紹介していた安謝地域のような移動販売が出来ている理由やプロセスを詳しく知りたい。
A:他の地域でも移動販売などの活動をすることは不可能なものではない。
⊡地域包括支援センターの協力を得ること。
⊡情報をマッピングすること。
→ニーズをキャッチすることができ、より説得力が増す。
⊡積極的に協力してくれる方がいること。
→場所の提供に協力できる方がいること。
こうした参入できる条件さえ、揃っていればどの地域でも実現可能ということを
学びました。
今回の講義を通して身近な人の様子を観察し、自分にできることを行動に移していこうと思いました。
「移動」という言葉には、買い物や通院・通学といった様々な場面で直結している問題であり、講義受けたからには、この学びを無駄にせず身近な人から移動で楽にしてあげたいと感じました。
島村さん、本日は貴重な講義のお時間ありがとうございました