日時 11/6 19:00〜21:30
場所 天久ヒルトップ
こんにちは。まちなか研究所わくわく糸満市市民活動支援センター担当の新垣仁美です。
今回は、まちわくスタッフとしての研修も兼ね、本日の講義を受講し内容をまとめさせて頂くことになりました。どうぞ宜しくお願い致します。
講義11 地域資源を拓く協働とは
企業+地域住民=豊かなコミュニティー
沖縄地域社会ビジョン大学院2014の第12回目の講師は、那覇市職員として28年間勤務し、多くの市民や事業者の方とまちづくりの実践を経験してきた、沖縄大学人文学部福祉文化学科准教授の島村聡さんです。行政を経験された立場として、公募型事業や福祉や医療の専門家との研究会などを通してどのようにして協働して仕組みづくりをしていくのか、委託や補助といった方式の限界を超えて、社会事業として成立させて行くにはどのような工夫が必要なのか一緒に考えていきました。
《主な流れ》
■協働は手法であり、特別な分野ではない
規制緩和・予算抑制・人員削減という環境⇒いい提案を積極的に受け入れ、一緒になって施策を組み立て、実践を委ねていく⇒特定の個人・団体だけに利益を誘導できない。プロポーザル方式では拾えないアイデアがある⇒協働(お互いが相手のために動く)という手法が必要
H9年小泉改革時によって進められた様々なコストカットによって、役所もその影響を受け、業務を民間に流すという形に。いい提案は積極的に受け、一緒になって進めるという流れの時期だった。H12年介護保険導入では、数ある民間業者の中から仕事を任せる際、協働やプロポーザルの話になるが、プロポーザルだけではアイデアは拾えない。民間側は受けるという意識があるとダメで、成り立たない。民間と役所のやりたい方向性が一致した時にはじめて協働と呼べる。お互いがお互いの為に働いて協働。協働は分野という誤解があるが、あくまでも手法であり特別な分野ではない。
■WIN・WINの種を見つける
山ほどある行政課題の解決(少子高齢・低所得化・地域崩壊・犯罪多発)
産業振興⇒企業のメリット + 安心安全⇒地域住民のメリット
↑ ↑
共通するものを探す
■新たな仕事を生み出す流れ
従来型:予算化→仕様書作成
提案型:提案→協議→予算化 飛び込み営業に変える
■団体の抱えている課題に着目する
NPOの場合:事業資金の確保、組織の拡大、事務局体制の確保、組織運営のノウハウ、継続性の確保
企業:資機材の有効活用、人材の活性化、リスクの回避、新たな分野の開拓、省エネ・省コスト
↓
以上の課題を踏まえ、「提案」 ⇒ プレイヤーキーパーソン
どの企業やNPOも組織課題を抱えたまま、つぶれるケースが多い。NPOの場合は事業資金の確保が大きい。企業においては資機材や資金の利活用で大規模な企業ほど沈滞している。それらの課題やニーズに着目し、それに合った提案を行政側から「こういうのあります」という形で飛び込みで営業し引き出していく。その際、お互いのメリットデメリットをうまく合わせていける人や企業を探す。そこにはプレイヤーになる人が必ずおり、協働という形に持っていく可能性のある人は限られていく。要はウィンウィンの関係作り。
■協働の流れとポイント
発想→プレイヤーにニーズ投げ(アイデアが膨らまないと×)→提案と戦略協議(具体的事業性がないと×)→実施(狙った成果がないと×)→成果の共有(持続性がないと×)→発想…繰り返し
協働の流れとしては以上の順で進行。しかし(カッコ内条件)をクリアしないと次の段階に進められない。
「提案と戦略協議」では、行政の良さ(信用度・公平性・持続性)、民間の良さ(経営感覚・瞬発力)各々の特性を活かし、うまくかみ合った際には次の段階へ。委託・補助・協定が結ばれ「実施」へ。「成果の共有」では、次のニーズへの対応協議を行い、民間に生まれたノウハウとシーズを活用して事業のグレードアップを図る。これらのサイクルを継続させていく事が大事だが、行政の弱点は成果が上がれば事業終了と止めてしまう所。事業を一過性にしないためにも、持続性が大事。
<那覇市で行われた協働の事例の数々>
■本業を活かして地域に貢献
・健康度UPで広報宣伝とモチベーションをGET
・不良在庫の再活用で処分費の削減と社会貢献
・新聞配達で黒枠を探して虐待防止
・ホームレスの雇用でパート不足を解消
■団体活動を地域に拡げて信頼度アップ
・検診受診率アップに貢献し企業価値を高める
・ウォーキングのついでにバリアフリーチェック
■地域ニーズを拾い上げて仕事にしてしまう
・高齢者向けの宅配で応援と笑顔をGET
・幼稚園や小学校の送り迎えをカバーする
・自助活動のファミリーサポートが大盛況
・空き物件の活用で障がい者の住まいを提供
島村氏による講話の後、各グループに分かれワークショップを実施。
各グループがそれぞれ練っている現在の提案を、より住民と協働にしていくためにはどうしたらよいかブラッシュアップする作業を行いました。
「地域コミュニティー形成と商業の活性化の2つをウィンウィンの関係にする為のまちづくりマネージメント活動構想」、「地域の人を巻き込み、地域の人が先生になる母子家庭に対する就労支援や子育ての療育支援」など・・・各グループからは地域を元気にする様々なアイデアが出されました。次回がその最終発表となります。お楽しみに!